「マンションの維持管理」に関する業務は、専門的な知識が必要なこともあって、マンション管理組合の役員の方が最も頭を悩ますことの1つです。また、修繕担当理事になって、組合員の方々になかなかマンションの建物や設備の状態に関心を持ってもらえないと悩んだ経験がある方も多いと思います。修繕工事の実施を提案するにも、組合員の方々が、今の建物や設備の状態を意識していないと話し合いもかみ合いません。
そこで、「組合員の方々に、建物や設備に関心を持ってもらうにはどうしたらよいのか」、さらに、「役員の方だけでなく、組合員の方々が参加するイベントとして企画できるものはないか」について、専門家の方などからご意見をいただいて検討しました。そして、この度、「管理組合による自主点検」としてまとめました。
「管理組合による自主点検」とは、建築基準法などの法律で定められた点検やエレベーターなどの保守契約に基づく点検とは別に、管理組合の発意で任意に行う点検です。 具体的には、マニュアルに掲載された「自主点検チェックシート」を用いて、建物を巡回して、目視により「異常」の有無を判定します。
「自主点検」の実施は、例えば、次のような場面を想定しています。
<ステップ1(できることから)>
新旧役員の交代の際に引継ぎを兼ねて 〜共用部分の鍵や備品を確認しながら、点検して回る。
<ステップ2(組合員の方々が参加)>
組合員の方々が参加するマンション探検のイベント 〜必要により(最初は)、専門家から点検のしかたや劣化現象の説明を受けながら行うことも考えられる。
<ステップ3(事業計画の下調べ)>
来期の修繕に関する事業計画案や収支予算案の作成のために 〜点検の結果を来期の事業計画案や収支予算案に反映(調査・診断や修繕工事の費用などを盛り込む。)させる。
法律で定められた点検や保守契約に基づく点検は、資格や専門的な知識が必要なため、専門家に依頼しますが、どうしてもお任せになりがちです。自分たちが暮らすマンションの建物や設備がどのような状態なのか把握するために、少なくとも年1回程度は、役員をはじめ組合員等の方々で点検されることをお薦めいたします。
このたび改訂版を発行する運びとなり、法定点検に関する法改正事項及び標準管理規約の改定事項の反映並びに専門家紹介窓口、相談窓口一覧の時点修正を行いました。
なお、「点検」や「調査・診断」に関してさらに詳しくお知りになりたい方は、「管理組合のための点検、調査・診断のすすめ方」(発行/(財)マンション管理センター 価格/2,545円(登録会員2,285円)(税込、送料別))をご参照ください。