中高層の耐火構造の集合住宅を一般にマンションと呼んでいます。
マンション(区分所有建物)には、ご承知のように自分の住戸(専有部分)だけではなく、廊下、階段等があります。これらはマンションに住む区分所有者である皆さんが共用するため、共用部分と呼ばれています。
また、当然のこととしてマンションには敷地があります。
一戸建の建物では、その全てがその人の所有(専有)ですが、マンションは専有部分だけでは成り立たないのです。
このうち専有部分は、それを所有しそこで暮している方々が、部屋の手入れや掃除、修繕、あるいは電灯の取替えなどのいわば住まいの維持管理をします。共用部分は、共同で管理することになりますが、昔から「共同責任は無責任」といわれているように、何らかの手立てをしなければ、誰も何もしないことになり、放置された状態、即ち荒れはてたマンションに変貌します。それではマンションで安心して、快適に生活を送ることができなくなります。
マンションの共用部分の範囲は、後に詳しく述べますが、生活に欠かすことのできない重要なものばかりです。例えば、給水設備もその一つです。これが故障したり老朽化のために、各住戸に水道水が供給されないようなことになれば、ひと時もそこで生活することはできません。同じように、電気、ガス、排水、エレベーター、屋上等々、マンションでの生活に必要なものの大半は、共用部分になっているのです。これらを維持管理、保全して行くにはそのための組織が必要になります。その組織が、管理組合なのです。
かつて、管理組合の設立は、マンションに居住する区分所有者の皆さんが自らの意思によって行うものと考えられていました。しかし、昭和59年1月1日施行となった改正「建物の区分所有等に関する法律」では、「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、」と規定し、マンションに住めば、敷地や共用部分を区分所有者の皆さんで管理しなければならないため、 そこに当然一つの団体が存在することになります。区分所有法はそのことを確認的に宣言しています。
すなわち、従来のような任意団体としての管理組合では、管理組合の設立に加わらない区分所有者がいても、この者を強制的に加入させることができず、また組合の運営をめぐって紛争が生じ、脱退者が現われても、それに対して有効な手立てがとれませんでした。
しかも、そのような区分所有者に対して組合の管理組合規約や集会の議決を遵守させることが困難となり自主的な管理運営が著しく損われるという事例がありましたし、区分所有者自身も皆んなで、マンションを管理するという意識が希薄であったことにより、種々の問題が生じました。
そのため、その意識を高め、区分所有者をしてマンションの適正な管理ができるよう規定が設けられたのです。